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¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
極性の大きい発色団を含む両親性化合物と,長鎖脂肪酸などとを交互に累積した非対称LB膜には,焦電性・圧電性・および光学的非線形性などが期待されるため,LB膜の機能性開発の立場から,最近特に注目を集めている。本年度の研究では,分子軸方向に大きい極性を持つドデシルオキシフェニルピラジンカルボン酸(DOPC)と重水素化ステアリン酸(Stーd_<35>)の交互累積膜や,それらのBa塩の交互累積膜を作製して,膜中の分子配慶向の温度依存性を,最近我々が提案した方法,すなわちFTIR透過および反射吸収(RA)スペクトル間での特定のバンドの強度比を用いる方法で定量的に評価するとともに,膜の焦電効果を測定し,両者の相関性を詳しく検討した。 Ba塩の交互膜中の両分子の配向性は,いづれも0〜45℃の範囲で非常に高く,一定であるが,それ以上の加熱で徐々に低下し,炭素鎖の規則性も低下する。また酸の交互膜中のそれは,35℃まで一定で,その後の加熱で急速に低下する。一方,同じ交互膜をー30℃から70℃まで加熱したときに膜中を流れる電流を精密に測定したところ,Ba塩および酸の交互膜の両方でO℃付近から負の電流が増し始め,前者では45℃付近,後者では35℃付近から急に正の電流が増加する。以上の結果を比較検討すると,40℃付近以下での負電流は膜内の自発分極に起因する焦電流であり,高温側での正電流は炭化水素鎖の乱れによる脱分極電流であることがわかる更にBa塩の交互膜について焦電流の原因を検討したところ,末端のCOO基の構造変化に起因する極性の変化によることがわかった。 今後は,両交互膜中の分子配向と焦電効果の膜厚依存性を測定するとともに,CCD検知器によるラマンスペクトルの高感度測定を行って炭化水素鎖の規則性の温度変化を詳しく研究し,膜中における分子構造と焦電性との相関解析を更に進展させる。
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