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¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
ポリオキシメチレン(POM)の超延伸・高弾性率繊維の力学物性とモルフォロジ-の相関を解明する研究の一環として,POM繊維の結晶モルフォロジ-を評価する新しい分光学的手法を開拓した。特定の対称種に属する赤外バンドの波数がモルフォロジ-によって大きくシフトする現象に着目して,線型および大環状POMについて振動数とモルフォロジ-との定量的関係を調べた。POM結晶が典型的な折れたゝみ鎖結晶(FCC)から伸び切り鎖結晶(ECC)に移るにしたがって,分子鎖軸方向に遷移モ-メントをもつA_2対称種の赤外バンドが最高105cm^<ー1>も低波数シフトする。この現象は一連の極性高分子結晶に共通して観測され,遷移双極子相互作用によって生ずることを明らかにした。このような赤外バンドの特異的な変化は大環状POMについても見出された。この波数変化はPOM繊維におけるモルフォロジ-の違いを知るのに利用できる。たとえば,A_2(4)バンドの波数はFCCで1002cm^<ー1>に現れるが伸長率λと共に低波数シフトし,λ【similar or equal】5で903,λ>20で899cm^<ー1>にシフトし針状結晶(ECC)の極限値897cm^<ー1>に近ずく。さらに,分子運動が力学物性におよぼす効果に関し,CH伸縮領域のラマンスペクトルおよび回転型格子振動の遠赤外バンドの温度変化から,130K以上で分子鎮軸回りの回転ゆらぎを生じ,これによって結晶弾性率の低下が起ることを明らかにした。 強誘電性液晶の相転移の分子機構に関し,一連の芳香族系強誘電性液晶分子について結晶から等方液体に至る相転移過程をX線回折および赤外・ラマン分光で考察した。結晶は複雑な固相転移過程を経て強誘電液晶相(S^*_c)へ転移し,ついで常誘電液晶相(Ch)へ移る。その間,層状構造の段階的変化と共にメソゲンであるビフェニル基のねじれなど分子内構造の変化を生ずることを示した。
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