Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
合成高分子の材料表面上で細胞の活性化や機能を制御する試みは,細胞賦活化材料や組織器官形成促進材料などのように生体に対して積極的に働きかける材料あるいは血液適合性材料に代表される細胞や生体に対して不活性な材料の設計上不可欠である。 本研究では,細胞機能を制御し得る高分子材料表面の分子設計法を確立するために,材料表面の官能基の種類やその分布状態および結晶ー非晶などのミクロ構造が細胞機能に与える影響について系統的に検討することを目的とした。 本年度は種々の材料表面を提供する高分子の合成とその表面構造の解析を行った。さらに,これらの材料表面上での血管内皮細胞の増殖性やプロスタサイクリン(PGI_2)産生能を調べるとともに血小板の活性化抑制機構を検討した。その結果,材料表面の官能基の種類や分布状態によって,内皮細胞の機能の一つであるPGI_2産生能が大きく変化することが明らかとなった。 また,血栓形成反応に重要な役割を果たしている血小板と材料表面との相互作用を詳細に調べるために,外部刺激に対する2次メッセンジャ-である細胞内遊離Ca^<2+>に着目し,Ca^<2+>結合性螢光物質を用いて,この遊離Ca^<2+>濃度を定量する手法を確立した。この方法を用いて,我々が既に開発した優れた抗血栓性材料である結晶ー非晶ミクロ構造型ポリエ-テルセグメント化ポリアミドにおける血小板の接触活性化抑制機構を調べた。すなわち,材料表面への血液の接触によって形成された吸着タンパク質層を介しての血小板の活性化について,細胞内Ca^<2+>濃度の変化を調べた結果,材料表面のミクロ構造が安定な吸着タンパク質層形成に至る過程において血小板の接触活性化の抑制に大きく寄与し,その材料の抗血栓性発現を決れる重要な因子となっていることがわかった。
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