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¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
我々は、これまでに大気圧での火炎中に存在するさまざまな化学種の発光強度が磁場によって変化することを見いだしてきた。これらの磁場効果の有無の原因を解明するために、反応全体をできるだけ素反応に分解して、どの過程がどのような機構で磁場の影響を受けるのかを実験的に研究することを開始した。本年度は、燃焼反応に近い系として、アセチレンと酸素原子・窒素原子との低圧気相中での反応中間体について研究した。 窒素分子をマイクロ波放電することによって生成する窒素原子と一酸化窒素との反応を利用して酸素分子がない条件で酸素原子を生成した。これに、アセチレンのフロ-を交差さらると、青白い拡散炎が生じる。この系での発光種は、OH(A→X),CN(B→X,A→X),CH(A→X,B→X),C_2(d→a)などであり、それらの相対強度は一酸化窒素の混入濃度によって変化する。このうち、OH、CHからの化学発光には実験誤差を越える磁場変化は示さない。しかし、C_2とCNからの化学発光には磁場消光が観測された。C_2H_2/N,Oの反応領域では、C_2(d→a)だけが磁場によって消光される。磁場消光の程度は、一酸化窒素の混入濃度や反応部の圧力に依存し、これらの観測結果およびレ-ザ-励起による寿命の測定より、C_2(d)の発光準位の生成過程が磁場によって阻害されることが、消光の原因であることがわかった。C_2H_2/O+NOの反応領域では、C_2(d)状態とCN(B)状態の反応中間体としての分布が磁場によって減少することが分かった。NOの濃度と磁場強度に対する両者の磁場消光の類似した依存性より、その原因は共通であることが示唆された。これらの磁場効果の分子論的機構を明らかにするために、次の段階としてレ-ザ-閃光分解法を用いて、より素反応に近い系について実験を計画している。
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