Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
誘電体の中に多数の錫粒子を埋め込んだものを標的部とし,これを極低温で働かせる素粒子検出器の開発研究を行った。これは,物質との相互作用が極めて弱いと想定されている宇宙由来素粒子・暗黒物質の検出を試みることを,念頭に置いたものである。超伝導金属を表面が良好な球形微粒子(直径1〜300μm)にすると,臨界温度以下一定の磁場のもとで熱力学的に準安定な“過熱的"超伝道状態になる。これに,適量の刺激を与えてマイスナ-効果を破り,常伝導状態へ相転移させることができる。その際,標的部を取り巻く検出コイルに起電力が誘導され,信号として取り出される。刺激としては磁気的,熱的二つの種類が可能で,素粒子検出器に応用した場合,前者は磁気単極子,後者は通常の荷電粒子および中性弱相互作用粒子が相当する。 1.錫粒子にα線を照射し,熱的に相転移するのに必要な印加磁場と入射エネルギ-との関係,エネルギ-感度などの基礎デ-タを得た(前年度)ので,これらデ-タの解析を行い,準安定状態にある錫粒子は局所的温度上昇だけで(一様加熱ではなく)相転移すること,感度は金属比熱の低下とともに上昇すること等を結論した。 2.液体 ^4Heの温度領域(2〜3K)で作動するプロトタイプの検出器を作成し,昨年度,延べ650時間に及ぶ動作テストを行った。今年度は,使用錫粒子中に含まれる放射性不純物の測定を大阪大学に依頼し,その結果を基に検出器に顕れた雑音の頻度・大きさを解析した。放射性不純物によるものではないことが結論され,宇宙線による雑音として矛盾はしないことが分かった。 3.液体ヘリウム3ー4による稀釈冷却機の製作を行い,極低温領域(50mk前後)で作動,数10eV程度の損失エネルギ-に対して感度をもつ小型低温粒子検出装置の製作を行った。現在,各部位の性能検査の段階である。
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