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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
昨年度に引き続き質量選別した炭素負イオンクラスタ-と固体表面の相互作用について,とりわけ衡突にもとづく2次電子放出過程の解明を試みた。炭素負イオンクラスタ-の作製及び粒子数選別はレ-ザ-蒸発法と飛行時間分析型質量分析器を組み合せて使用した。本年度の研究では次の項目について明らかにした。 1)衡突エネルギ-600eV領域における2次電子放出効率(r)値の絶対値測定。 2)γ値の粒子数及びエネルギ-依存性。 3)クラスタ-の2次電子放出に関する電荷の効果。 4)放出電子のエネルギ-分析。 5)イオン散乱及び衡突解離過程の解明。 得られた結果は次の様である。 1)粒子数10ケの炭系クラスタ-についてγ=0.3の値がファラデ-カップを使用した実験から明らかになり,衡突に際し,7割が基盤に,残り3割が真空中へ放出されることが明らかになった。又,粒子数依存性は顕著であり,このエネルギ-領域ではγ〓1/(√<n>)の関係があることが見い出された。 2)衡突エネルギ-とγの関係では,エネルギ-の低下とともにγ値は低下するが,衡突エネルギ-が50〜100eVの領域で,顕著な電子脱離の増加が見られた。この過程は従来報告されていない全く新らしい現象である。 3)エネルギ-を同一にした負イオンクラスタ-と中性クラスタ-のγ値を測定し,電荷の効果を調べた結果,600eV領域ではγ値はほぼ一致し,この領域では電荷の有無とは無関係で運動量によってγ値が決定されていることが明らかになった。 4)放出電子のエネルギ-分布はおおよそ2〜3eVまで分布しているが,エネルギ-分布に大きな構造は見い出されなかった。 5)きわめて低速の運動エネルギ-領域(衡突エネルギ-,<50eV)で大きなイオン散乱を観測した。 この領域のイオン散乱は大部分親イオンのまま散乱していることが明らかになった。
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