軸索内輪送を用いた神経回路網形成の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
02220205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田代 朋子 群馬大学, 医学部, 助教授 (50114541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 義璋 群馬大学, 医学部, 教授 (50010046)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 軸索内輪送 / 細胞骨格 / 加齢変化 / チュ-ブリン |
Research Abstract |
昨年度までに、軸索内輪送現象を利用して、正常神経および再生神経における軸索細胞骨格の動態解析を行った結果、軸索細胞骨格には構造維持に重要な安定重合型と重合ー脱重合平衡にあるダイナミック型という二種の重合状態が区別されること、二つの型の輪送速度分布や再生時における選択的加速などから輪送はダイナミック型を介して行われること、などの新しい知見が得られた。本年度は更に、成長・加齢過程を通じて軸索内輪送の変化と細胞骨格重合状態の変化の対応を調べることにより、神経回路の形成と維持に果たす細胞骨格の役割を検討した。実験系として、4、7、14、30、80の各週齢ラット坐骨神経運動繊維を用いた。細胞体の存在する脊髄前角部にLー[ ^<35>S]メチオニンを注入し、1ー6週間後に坐骨神経内を移動中の標識蛋白を分析して、以下の結果を得た。 1)低温下、1%Tritonに対する溶解性により、標識チュ-ブリンを安定重合型とダイナミック型の二型の分別し、各々の速度分布を調べた。幼若期(4週齢)には両者が一体となって2mm/日の速度で輪送されるが、7週齢では、安定重合型の大部分を含む成分I(1.5mm/日)とダイナミック型を多く含む成分II(3mm/日)の二成分に分化する。安定重合型は加齢に伴って減速し、老化の進行する80週齢では、ニュ-ロフィラメント蛋白とともにその通過障害が顕著となる。これは安定重合型ーダイナミック型間の変換頻度の低下を反映すると考えられる。 2)幼若期には標識後のどの時点においても安定重合型とダイナミック型の比率は1:1であるが、30週齢、80週齢では標識後の時間経過とともに安定重合型が減少し、その分解産物が検出されるようになることから、停滞した安定重合型が選択的に蛋白分解されると考えられる。成長期を過ぎた神経では、このように細胞骨格輪送速度の低下と蛋白分解よる処理機構とがバランスを保っていることが示唆された。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)