Project/Area Number |
02220206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
辻村 秀信 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70092492)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1990: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | カイコ / 昆虫 / 末梢神経 / 神経鞘 / 発生 / グリア / 微小管 / 変態 |
Research Abstract |
電子顕微鏡観察により、カイコ末梢神経系の神経鞘をつくるグリア細胞は脊椎動物のようなミエリンはつくらず、薄く伸ばした細胞質を神経軸索にル-ズに巻き付けるとともに、細胞質の各所に神経と同方向に走る微小管束を持つことが明らかとなった。また、この細胞は神経軸索の性質を区別しており、運動性軸索に対しては1本1本の軸索を数層に巻くが、感覚性軸索に対してはほとんど巻かず、軸索束の外側を包むだけである。このグリア細胞は変態において一時的に脱分化する。すなわち、蛹期になると神経軸索への巻付きを解き微小管束を消失するが、蛹化期には再分化し成虫の神経鞘をつくることが分った。 このようなグリア細胞の変化は昆虫の変態を制御する昆虫ホルモンにより調節されているのではないか。そこで、昆虫の脱皮ホルモン、あるいは、その合成阻害剤を蛹に投与しホルモン濃度を変更した場合の末梢神経系の反応を調べた。その結果、ステロイドホルモンの合成阻害剤であるKKー42で蛹化直後の蛹を処理した場合には、末梢神経系の発生は正常発生の蛹1日から2日目の段階で一時停止し、その後の再開には約4日間かかることが分った。すなわち、グリア細胞が解けて微小管が分解する段階で一旦停止することが分った。さらに、KKー42処理と同時にエクジソンを注射すると、発生は無処理の場合と同様に進行することが分った。以上により、蛹後期に末梢神経系の発生、すなわち、グリア細胞による運動神経軸索の巻き包と、微小管束の形成は蛹期のエクジソン濃度の上昇によりコントロ-ルされていることが明らかになった。
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