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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
マウスにおいては,大脳皮質層を構成するニュ-ロン群は胎生9日(E9)前後から誕生直前にかけて発生してくる。この間におけるニュ-ロンとグリア細胞の発生と分化の機構について細胞培養を通して調べてみた。方法としては低密度で細胞を培養し,一定の視野下の細胞の成長を継続して顕微観察並びに撮影し,ついで固定後,ニュ-ロンに特異的な抗体(NF,MAPー2など)とグリア細胞に特異的な抗体(GFAP,RCー1など)を用いて免疫二重染色を行い細胞種を判定した。E11〜12の大脳皮質(側頭部)より取り出された個々の細胞は,(a)そのままニュ-ロンへと分化,(b)一度以上の細胞分裂を行った後にニュ-ロンへと分化,(c)複数回の分裂をともない当初ニュ-ロンのみを,ついで姉妹細胞からGFAP陽性細胞を生じることが示された。それぞれの挙動を示した細胞は取り出された時点で,(a)は既に最終分裂を経過しニュ-ロンへとcommitされている細胞を,(b)はneuroblastsを,(c)はまだ多分化能を保有する細胞を示していると考えられる。ついでE14〜16期の大脳皮質を皮質基板(CP)下で切断し,脳室側(V側)とCPを含む表面側(P側)に二分しそれぞれを細胞培養した。P側の細胞のほとんどは分裂することなくニュ-ロンへと成長した。このことは皮質基板へと移動した細胞は既にニュ-ロンへとcommitされていることを示唆している。一方,V側の細胞は上記(a)〜(c)の挙動に加え,(d)当初GFAP陰性であるが,分裂増殖を伴って,ニュ-ロンは産生しないが,GFAP陽性へと成長する細胞,すなわちglioblastsが認められた。これらの結果は,ヒュ-ロンとグリア細胞が共通の前駆細胞の不等細胞分裂によって派生してくること,その際にニュ-ロンの産生と分化が先行し,ついで姉妹細胞としてglioblastが出現することが示唆された。これらの現象は,大腸菌βーgalactosidaseを組み込んだレトロウイルスベクタ-(BAG sector)を用いた細胞系普追跡においても確認された。
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