Project/Area Number |
02221101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀田 凱樹 東京大学, 理学部, 教授 (30010036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 益吉 筑波大学, 生物系, 教授 (60015534)
広川 信隆 東京大学, 医学部, 教授 (20010085)
竹市 雅俊 京都大学, 理学部, 教授 (00025454)
西郷 薫 東京大学, 理学部, 教授 (50136454)
西田 育巧 愛知ガンセンター研究所, 放射線部, 部長 (50107059)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥108,000,000 (Direct Cost: ¥108,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥108,000,000 (Direct Cost: ¥108,000,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 生体高次機能 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
前年度にひき続き大きく3つの研究方向で研究を行った。その第1は、ショウジョウバエの分子生物学および細胞工学技術の改良と新しい技術発展をはかる研究である。東大の遺伝子実験施設の堀田の実験プロジェクトを班員のためのセンタ-とし、ショウジョウバエおよびそのゲノムDNA及びcDNAの供給体制の整備を行った。ショウジョウバエに独特な技術などを自由に利用して研究する研究者がこの「ショウジョウバエ」重点領域を核に急増したので、とくに班員以外の研究者のためにも便宜を計った。また、既に研究成果のあがっている感覚系情報変換機構の遺伝子解析では、視覚系(複眼光受容器)突然変異(堀田、井上、鈴木、西郷、戸張)、味覚系(谷村、磯野)、筋遺伝子突然変異とその発現解析(堀田、最上、香川)、トランスポゾン転移機構の解析(西郷、堀田、三宅、山崎)、発癌遺伝子の突然変異解析(西田)などの研究を協同して重点的に行い、大きな発展があった。特に感覚系の受容器における細胞内情報転換の機構にイノシト-ル三燐酸の関与を分子生物学的な新しい方法論で証明し、その遺伝子のクロ-ニングに成功した。P因子の転移に関しても、転移の際に転移先および転移元におこる分子レベルでの変化をこれまでに開発した単一P因子転移実験系を利用して解析した。その結果、P因子の切出しと転移とは必ずしも平行して起こる現象ではないことを示す結果を得た。また、本研究で大きく発展した培養細胞系を利用した神経・筋の致死遺伝子の解析を引続き行い、とくにニュ-ロブラスト分化に関連する遺伝子・中胚葉と外胚葉との分化に直接関連する遺伝子などの同定に成功した。そこで得られた興味深い遺伝子のクロ-ニングのために、マイクロクロ-ニング技術の改良(堀田、鍋島)とP因子エンハンサ-トラップ法の改良(堀田、最上、谷村、鍋島)を行った。また単一P因子挿入突然変異系の改良を行い、転移の確率の最適な系統を確立した(堀田、三宅、山崎)。この系を利用して前年度迄に明らかにした神経系・中胚葉などの分化のスイッチ遺伝子のアレルを誘発した。現在その系統からプラスミドレスキュ-法によってクロ-ニングを行っている。また同じ系を用いてエンハンサ-トラップ法を行い、神経系・成虫原基などで興味深いパタ-ンで発現する遺伝子の新しい同定法を工夫した(鍋島、三宅、堀田、谷村)。 第2の方向は、ショウジョウバエの分子生物学的技術を他の実験系の応用することである。理想的な遺伝子導入法であるP因子法を利用した突然変異分離を精力的に行った(堀田、最上、三宅、谷村)。特に、胚神経系、変態期神経系、筋肉の分化、細胞間相互作用などに異常を持つものを多数分離した。いったん突然変異が分離されれば、プラスミドレスキュ-法により当該遺伝子の近傍DNAが容易にクロ-ニングできる。また、他の生物の遺伝子とのホモロジ-を利用して、細胞接着分子(竹市)、イオンチャンネル(田辺、小松、堀田)、ホメオボックス(黒岩、鈴木、上野)、ホメオチック遺伝子(鈴木、黒岩)、癌遺伝子(西田)、神経系の形態発生における遺伝子発現の解析(広川、堀田、三宅)、染色体組換え機構(山本)などに関係するショウジョウバエ遺伝子の解析を行う。 第3の方向は他の有用な手法をショウジョウバエの高次機能突然変異の解析に応用する方法の開発である。電気生理学(小松、神野、磯野)・電子顕微鏡(鈴木)・他のショウジョウバエ種や動物の遺伝学(戸張、桂、上野、鈴木、佐藤、香川、田辺、黒岩)のショウジョウバエ研究への応用などの発展は、このような計画研究なしには考えられないような形で発展した。
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