精子の精巣上体における成熟を司る因子の同定と、その作用機構の解明
Project/Area Number |
02222201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岡村 直道 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30134224)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 精子成熟 / 精巣上体 / ブタ / アデニレ-トシクラ-ゼ |
Research Abstract |
本研究は、哺乳動物の精子の精巣上体における成熟のメカニズムを解明することを目的としている。精巣上体での精子成熟は、精巣上体管上皮細胞の影響下で起こるというのが、現在の一般的な考え方である。 本年は、ブタ精子の運動性が著しく増大する体部精巣上体分泌液中に見出される135kDaタンパク質に着目し、このタンパク質を精製し、又、それに対するモノクロ-ナ及びポリクロ-ナル抗体を作製し、本タンパク質の本体と精子成熟への関与の有無を明らかにすることを試み、以下の結果を得た。1:精製135kDaタンパク質及びそのトリプシン消化産物の幾つかのNー末端アミノ酸配列は、これまで報告されていない新しいものであった。2:本タンパク質は、調べた限りでは、ブタ精巣上体の体部と尾部のみに認められ、種・組織特異性の高いものであることが判明した。又、in vitroタンパク質合成実験により、ブタ精巣上体体部で、実際に135kDaタンパク質のmRNA活性が発現していることも明らかとなった。現在、この体部cDNAライブラリ-から本タンパク質のcDNAのクロ-ニングを試みている。3:本タンパク質は、精巣上体から分泌された後、末熟精子に結合する。この際、精子細胞膜上のプロテア-ゼによる分解を受けて、27kDaフラグメントとして精子上に結合することが判明した。この27kDaフラグメントは、初め末熟精子の赤道帯の部分に均一に結合したものが、精子の成熟に伴い、先体のすぐ後ろの非常に狭い部分に濃縮、局在化されることが判明した。この部位は、精子が最初に卵と接着する部位であり、非常に興味深いが、このタンパク質の生理活性及び、この現象の生理的意味については、現在検討中である。 上記タンパク質は、精子成熟の細胞外調節因子の候補の一つであるが、細胞内調節因子としては、サイクリックAMPが知られている。本年、この生成酵素であるアデニレ-トシクラ-ゼの単離精製にも成功した。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)