ミトコンドリアDNAからみた現存および先史モンゴロイド集団の起源と系統
Project/Area Number |
02225217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝研究系・人類遺伝研究部門, 助手 (40126157)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / PCR法 / 塩基配列 / 先史モンゴロイド / 日本人の起源 / 遺伝子系統樹 |
Research Abstract |
本年度は、東南アジアから20、アメリカから7の計27人の現代モンゴロイドと、3千ー6千年前の縄文人5人、2百ー3百年前の近世アイヌ6人の計11の古代日本人骨のサンプルから、各々ミトコンドリアDNAの遺伝子をコ-ドしていない領域をPCR法で増幅し、その塩基配列の決定をおこなった。まず、これまでに得られた三大人種のデ-タと合わせて、現代人128人について、相同な482塩基対の解析をおこなった。この領域の塩基多様性の度合は1.46%で、mtDNAのゲノム全体を制限酵素で調べた値の3倍以上の値となった。遺伝子系統樹を作成したところ、大きくC1からC5の5つのクラスタ-に分類された。C1はアフリカ人だけで、C2、C3、C5は主にアジア人、C4は主にヨ-ロッパ人で構成されることが明らかとなった。さらに、アジア人は、C1のアフリカ人に引続き2番目に分岐するグル-プと、後に分岐するグル-プの2つに大別されることがわかった。一方、アメリカの原住民はC3とC5のみに分かれ、もとになった集団がそれほど大きくなかったことが示唆される。次に、遺伝子の多型性の程度が特に高い190塩基対の領域に関して、古代日本人骨のデ-タを加えた計139人の解析をおこなった。この領域の塩基多様性の度合は2.26%とさらに高い値を示した。遺伝子系統樹の上では、古代日本人(近世アイヌと縄文人)の一部が、現代日本人と東南アジア人の一部と同じ枝に分かれ、これらが近い関係にあることを示している。また、全ての古代日本人は、より大きな一つのクラスタ-に入り、他のクラスタ-に属する現代日本人とは系統的に異なることを示している。これらの結果は、現代日本人の祖先の多くはアジア大陸から移住してきたとする、移住説を支持するものである。
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)