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¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Research Abstract |
炭化ケイ素系繊維は,ケイ素,炭素,酸素からなる,非晶質構造を有する高強度繊維である.酸素は熱酸化不融化の際に,炭化ケイ素系繊維の出発物質であるポリカルボシラン系に導入され,繊維に約10wt%存在している.しかし1573K以上の高温度領域で熱分解反応が起り,一酸化ケイ素と一酸化炭素の無機ガスが発生し,繊維形態が変化し,強度が急激に低下する.本研究で,酸素を伴わない,電子線やガンマ線照射の架橋による不融化方法の開発実験を行い,酸素をほとんど含有しない炭化ケイ素系繊維の合成を試みた. ポリカルボシラン系が電子線とガンマ線の放射線を用いて照射され,放射線架橋により不融化された.放射線照射により生成したラジカルの濃度と挙動を電子スピン共鳴で解析し,さらに照射中の分解生成ガスをガスクロマトグラフィ-により調べた.次ぎに放射線照射不融化されたポリカルボシラン系を,アルゴン中1473Kで焼成して低酸素濃度(2〜3wt%)の炭化ケイ素系繊維を合成した.また照射後,真空中523Kと1273Kで熱処理を行った後,上記の条件で焼成して,より低い酸素濃度(1wt%以下)炭化ケイ素系繊維を得た.これらの繊維をアルゴン中,1773Kで熱処理して耐熱性を調べた.繊維の引張試験は室温で行われ,本年度購入したテンシロン用デ-タ処理装置を用いて,引張試験,ヤング率が求められた. これらの得られた炭化ケイ素系繊維は,高強度,高ヤング率を有し,特に低酸素のものほど高い値を示した.そして1573K以上の熱処理において力学的特性がほとんど低下しなかった.熱酸化不融化法とは異なる新しい概念で,放射線不融化法が開発され,高温で熱分解し難い低酸素濃度の炭化ケイ素系繊維が得られたことは新しい点である.来年度は酸素濃度と特性の関係を明らかにして,繊維の高性能化を目指す.
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