ヘテロ有機化合物の素反応と有機求核付加反応の理論設計
Project/Area Number |
02230109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
諸熊 奎治 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (40111083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 章吾 大阪産業大学, 助教授 (40221262)
古賀 伸明 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80186650)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | 非経験的分子軌道法 / ビラジカル生成反応 / エンジイン / エンインーアレン / 分子素子 / 水素転移 |
Research Abstract |
今年度は分子設計のための理論的指針を得るために、1)エンジインとエンインアレンのビラジカル生成反応の比較と2)水素転移機構による分子素子の可能性について、非経験的分子軌道法を用いた理論的研究を行った。1)については、エンジインとエンインーアレンのモデルとしてヘキサー1,5ージエンー3ーインとヘプター1,2,4ートリエンー6ーインを用いた。実験事実と一致して、エンインーアレンの方が吸熱的でなく活性化エネルギ-も低い。生成物のメチレン上のπラジカルが安定であるために、エンインーアレンの反応は吸熱的でない。この安定性は、πラジカルが芳香環と共役していること、アルキルーH結合の方がアリ-ルーH結合よりも弱いことによる。この共役は遷移状態では起こらない。活性化エネルギ-の違いは、共役ではなく、エンインーアレンの面内π電子間の反発が、エンジインのそれよりも小さいからである。2)分子素子の機能を発現する化学的機構として、水素転移、電荷移動などが提案されている。Carterは励起状態を利用した水素転移のスイッチング機構を提案した。ここでは、ピラゾ-ルでの水素移動について、基底状態、n→π^*状態、π→π^*状態のポテンシャルの計算を行った。その結果、どのポテンシャル面もCarterのモデルに適した形状を持っていない。つぎにモデル分子、CH_2ーNーNHーCH_2アニオンを検討した。基底状態とn→π^*、n^2→π^<*2>状態の水素移動のポテンシャル面の計算を行った。n^2→π^<*2>状態では水素移動のエネルギ-障壁は28kcal/molであった。n^2→π^<*2>状態ではCーNーN(H)角がほぼ180°であり、低いエネルギ-障壁に構造のrelaxationによる安定化が大きく働いている。このエネルギ-障壁は基底状態からの垂直励起状態からみた場合56kcal/molエネルギ-的に低い状態にある。垂直励起とNNH角のbendingモ-ドの励起を伴う励起においてはスイッチング機構が可能であるといえる。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)