Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Research Abstract |
BEDTーTTFをはじめとする多数のカルコゲン原子を有するTTF誘導体は超伝導をはじめとする興味深い電子物性を示す。本研究てはBEDTーTTF類似の新規ドナ-分子をいくつか合成し,錯体の電導度の測定,結晶構造解析,バンド計算などを行なった。BEDTーTTFの2つのエチレン基をビニレン基で置き換えると,次第に錯体の1次元的電子構造が顕著になることを見い出した。BEDTーTTFのエチレン基の立体障害がかえって2次元的電子構造を実現しており,錯体が低温まで金属状態を維持するのに有利になる。従来の電導性有機錯体の開発に対する考え方は,なるべく固体内で分子間電子雲の重なりが大きい方がよいとされていたが,この考え方は必らずしも正しくない。1分子中に多数の硫黄原子を有する各種TTF誘導体を合成し,それを成分とする錯体結晶を育成した。錯体中のアニオンの長さと電導性との間に密接な関連があることがわかった。また金属電導を示す数多くの錯体を見い出した。特にEOTT_2IBr_2,EOTT_2AuI_2,EVT_2ReO_4,BEDTーTTF_3Br_2錯体は4.2Kまで金属状態を維持した。これらの錯体の結晶構造解析を行なった。上記の研究の発展として,1,3ージチオ-ル環を分子内電荷移動系のドナ-サイトとし,これと電子受容基であるシアノ基およびエステル基と結合した一連の物質を合成し,2次の非線形光学材料の可能性を検討した。その結果,この分野で有明なMNAに匹敵する第2高調波発生効率および分子超分極率を示す系を見い出した。この物質の結晶構造解析の結果,分子が平行に並んだ対称心のない構造(空間群P1)であることがわかった。これらの物質は無色であり,青色光透過性に優れた半導体レ-ザ-の倍波発生用に有望であることがわかった。
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