セレン原子による多次元性分子間相互作用を有する新規な導電性錯体に関する研究
Project/Area Number |
02230220
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 大阪大学, 工学部, 助教授 (90029182)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
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Keywords | セレン / 多セレン配位子 / 金属錯体 / クラスタ- / 多次元性相互作用 / 結晶構造 / 電導度 |
Research Abstract |
セレン原子の軌道の張出しは大きく、分極率も大きいのでセレンを移く含んだ配位子を有する金属錯体においては,固体状態でセレンを介する分子間相互作用が有利となり、有効な電導経路形成が期待される。本研究においては、C_3Se_5^<2ー>配位子を有する金属錯体電導体を開発し、その構造および電導度を検討した。[Ni(C_3Se_5)_2]^<2ー>錯体は低い電位(0.11Vvs.SCE)で可逆的に酸化される。[NBu^n_4][Ni(C_3Se_5)_2]のX線結晶解析により、平面性の[Ni(C_3Se_5)_2]^ーアニオンが多くのセレンーセレン接近による二次元性相互作用を有することがわかった。部分酸化錯体として得られた[NMe_4]0.33[Ni(C_3Se_5)_2]および[NBu^n_4]0.25[Ni(C_3Se_5)_2]は、それぞれ0.2および0.056Scm^<ー1>の電導度(粉末加圧成型試料)を示し、これらはセレンーセレン接近による分子間相互作用により有効な電導経路形成によるものと思われる。[Au(C_3Se_5)_2]^ー錯体からも、部分酸化錯体が得られ、[Fe(C_5H_5)_2]0.2[Au(C_3Se_5)_2]が0.16Scm^<ー1>の電導度を示すことを明らかにした。[Cu_4(C_3S_5)_3]^<2ー>クラスタ-錯体は、そのかさ高さにもかかわらずイオウーイオウ接近によって二次元的分子間相互作用があることを、そのNーメチルピリジニウム塩のX線結晶解析から明らかにした。セレン誘導体である[Cu_4(C_3Se_5)_3]^<2ー>錯体も合成することができ、この部分酸化錯体[Fe(C_5Me_5)_2]0.5[Cu_4(C_3Se_5)_3]は1.9X10^<ー5>Scm^<ー1>の電導度を示した。セレンを介した分子間相互作用があると考えられるが、その有効性は劣る。このようなかさ高いクラスタ-錯体においても、セレンを介した多次元性電導経路を持った新しい電導体の開発が可能であると思われる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)