Project/Area Number |
02231205
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小宮山 真 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (50133096)
|
Project Period (FY) |
1990
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
|
Keywords | 環状リン酸 / シクロデキストリン / 位置選択的開裂 / 協同触媒作用 |
Research Abstract |
シクロデキストリンは、複合体形成ならびに触媒作用において特異性を示す興味あるホスト化合物である。近年、シクロデキストリンを化学修飾する手法が著しい進歩を逐げ、望みの位置に目的の官能基を導入することが可能となってきた。しかし、シクロデキストリンに化学修飾を加えて分子認識能を改造することにより新たな機能を発現させる試みは緒についたばかりであり、今後の発展が期待されている。今回は、我々がすでに報告したリボ核酸(RNA)の位置特異的加水分解に対するシクロデキストリンの触媒能を、さらに一層増進することを目指してシクロデキストリンの化学修飾の効果を検討した。 βーシクロデキストリンを触媒としてアデノシン環状リン酸を加水分解するとPーO(3')結合が選択的に開裂してアデノシン2'ーリン酸を優先的に生成し、しかも、ここにさらにKClを添加して行くと選択性がさらに著しく大きくなることを見出した。また、同時に反応が大きく加速される。同様に、CsCl、RbCl、NaClも選択性と反応速度を向上させた。金属塩単独では選択性の向上は全く認められないことより、これらの効果は、βーシクロデキストリンとアルカリ金属塩化物との協同触媒作用に起因する。それに対し、LiClを添加した場合には、反応の加速効果のみが認められ、選択性は逆に低下した。すなわち、βーシクロデキストリンとの協同触媒作用の有無はアルカリ金属の種類に顕著に依存する。種々の物理化学的検討の結果、βーシクロデキストリンにより与えられたPーO(2')結合とPーO(3')結合の化学環境の差異が、アルカリ金属ハライドにより、さらに増幅されることが明らかとなった。さらに、シクロデキストリンに化学修飾を加えることにより、シクロデキストリン単独では実現できない高機能を発現させることにも成功した。
|