Project/Area Number |
02231207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富岡 清 東京大学, 薬学部, 助教授 (50114575)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 不斉合成 / 光学活性 / 触媒 / 有機リチウム / 共役付加 / 配位子 / 錯体 / エ-テル |
Research Abstract |
新たな化学の創出を目指して、有機リチウムを炭素求核剤とする不斉配位子を用いるエナンチオ選択的不斉合成の開発を検討した。 隣接した不斉炭素を持つキラルジェ-テル、2,3ージフェニルエチレングリコ-ルのジメチルエ-テルは、有機リチウムに配位すると五員環キレ-トを形成する。エ-テル酸素原子上のメチル基はフェニル基との立体反発を避けてトランス配置をとる。その結果、キレ-ト面の上下左右に位置を定めて固定される。基質のリチウム原子への配位を契機として起きる反応ではリチウム原子に隣接するエ-テル酸素上のメチル基が絶対配置制御機能を発現することになると期待された。 ジエ-テルの存在化トルエン溶媒中、有機リチウムはナフタレンイミンと反応し、加水分解、生成するアルデヒドの還元をへて、共役付加体を収率よく与えた。しかも光学純度も90%以上と高く期待通りの機能が発揮されていると推測された。ナフタレンイミンばかりでなく、直鎖或いは環状の不飽和イミンを基質としても不斉反応が高選択的に進行した。生成不斉炭素の絶対配置はモデルから予測したものと一致した。 当量以下のジエ-テルの存在下でのナフタレンイミンを基質とした反応では触媒回転が実現されないことが分ったので、イミンをエステル基に変換したナフタレンエステルを基質とした共役付加反応を検討した。 ジエ-テルの存在下トルエン溶媒中 ArylLi はナフタレンBHAエステルに共役付加し、ケテンを経由するワンポイントプロセスで高不斉選択的に目的物を与えた。期待通り当量以下の0.3当量の4を不斉配位子としても反応が進行し、当量の4を用いた反応と同様な不斉収率、化学収率で目的物を与えることが分った。 有機リチウムを炭素求核剤とする炭素一炭素結合形成反応の初めての不斉触媒開発の糸口を見出したものと考えている。
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