Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 朝人 国立予防衛生研究所, 病理部第1感染病理室, 室長 (30100077)
岩崎 琢也 国立予防衛生研究所, 病理部一般病理室, 室長 (90146027)
佐多 徹太郎 国立予防衛生研究所, エイズ研究センター感染病理室, 室長 (00162397)
山西 弘一 大阪大学, 微生物病研究所・麻疹部門, 助教授 (10029811)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Research Abstract |
HIVは感染後,数年にわたる潜伏感染に移行する。そして全身リンパ節の系続的腫脹(PGL;Persistent Generalized Lymphadenopathy)として発症するが,その活性化の機序は未だよくわかってはいない。HIVはCD_4陽性リンパ球およびマクロファ-ジに感染するが,突発性発疹の病原体であるヒトヘルペスウイルス6(HHV6)も同様の細胞を標的とする。HHV6はこれらの細胞に潜伏感染することが,PCR法により確認された。in vitroでは,HIVとHHV6がT4細胞株で同時に増殖することが電顕的に確認されている。またHIV感染者(AC)21名の末血21名中10名にPCR法によりHHV6が陽性であり,また他のAC者20名中7名に培養で末血リンパ球にHHV6,6名にHIVの抗原が陽性となった。PGLのリンパ節の病理組織像の特徴は,リンパ濾胞の過形成(異常な)と,樹状突起細胞の腫大とB細胞の増生である。発症初期(PGL)に,悪性リンパ腫を疑われて生検されたリンパ節9例(いずれも外国人)について,HIVとHHV6の抗原分布を免疫蛍光法とABC法により検索した。HIV抗原は胚中心の中心部,すなわち濾胞内に大量に存在するのに対し,HHV6は濾胞周辺領域に散在性に大量に検出された。両ウイルス抗原は,49例の生剖検例でみると,ARC,エイズの症状の進行と共にリンパ節における検出率が減少した。HIV抗原は樹状突起細胞を中心に,HHV6はリンパ球およびマクロファ-ジにみられ,両者の分布域は明らかに異なっている。通常日和見感染としてのウイルスの関与はエイズの末期においてピ-クに達するが,HIVとHHV6は,潜伏感染から発症へのPGL期において,活性化に重要な役割を担っていると思われる。
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