Research Abstract |
本研究の当初の目的は,次の二つであった.第1は工場情報に関する地理情報システム化とそれに基づく分布図の通時的かつ共時的分析であり、第2は「工業統計メッシュデ-タ」を地理情報システム化かつ地図化し,第1の課題でえられた点の地理情報の地域的な意味を問うこと,であった。また当初計画では,平成2年度は前者のうち,特に工場に関する地理情報システム化に重点をおいて進める,というものであった. こうした目的および実施計画を受けて,今年度は工場情報に関する地理情報システム化に向けての資料の選択と収集,デ-タベ-ス作成のための構想と作業計画,それに基づいた入力作業,さらに位置情報の正規化作業を通じての地図化の試み,などの作業を行ない,課題1のシステム化については,過去の情報の入力作業が残っているものの,ほぼ完了した.システム化に向けた具体的な作業は次の通りである.資料は,情報項目が最も豊富な「事業所統計」の名簿に依拠して作成された「会社事業所名鑑」を基本とし,「工場通覧」や「有価証券報告所総覧」,各業界の「資料」などで補足することにし,デ-タベ-スも今後の拡大に柔軟に対応できるように構想した.これに基づいて,システム化のためのアイテム設定,地図化を検討し,具体化した.当初の計画通り,繊維(含,衣服)・基礎素材(化学,石炭・石油,鉄鋼,非鉄)・機械(電機)の主要3部門,従業者規模100人以上の工場に焦点を当て,1960,70,80,86の各年次について順次入力作業が進められている.また,地図化については,入力作業の最も進んでいる最近年次の首都圏及び大阪圏について,位置情報の正規化作業を通して地図化の試みを行ない,今後予定している分布図の分析の見通しがたった.
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