Project/Area Number |
02244218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
久保 文明 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (00126046)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 環境保護運動 / 環境保護政策 / レ-ガン政権 / 規制緩和 / アメリカ現代政治 / 運動の制度化 / 環境保護庁 |
Research Abstract |
本研究では、近年でもっとも保守的といわれたレ-ガン政権下のアメリカ合衆国で、環境保護運動と環境保護政策がいかなる関係にあるかを、可能な限り政治学の理的観点から追求した。 周知のように、レ-ガン政権は当初より「小さい政府」を目指し、環境保護規制や消費者保護規制などの政府規制を徹底的に緩和し、さらには撤廃しようともした。ところが、結果的にみると、環境保護規制は全体としてはさほど後退しないままであり、アメリカの環境保護政策は1980年代において、たしかに著しい前進はなかったものの、基本的骨格はほとんど揺らぐことはなかった。 本年度の研究では、このような状況を把握するために、〈運動の制度化〉という概念を使用して分析を試みた。これは第一に、アメリカの環境保護運動が、単に社会運動としてのみ存在するのではなく、きわめて大規模で安定した組織を作り上げ、弁護士やロビイスト・科学者など多数の環境問題専門家をフルタイムで雇用している状況を意味する。この結果、環境保護運動は立法過程において、さらには行政や司法過程においてさえ、恒常的な参加者となり、つねに一定の影響力を発揮することに成功している。この点については、多数の雑誌・新聞・ニュ-ズレタ-など多数の資料を収集し、分析することで、かなり詳細に実態を解明することができた。 第二に、環境保護庁(EPA)自体が、とくにその官僚や職員が、政治過程や政策形成過程で果たしている機能や役割も注目に値する。政治任用スタッフはたしかに政権の意向を受けて環境規制撤廃やEPA予算削減を支持したが、キャリア・スタッフの方は議員やマスコミ関係者あるいは環境団体に内部情報を提供する、あるいは政治任用の上司を訴える等の方法で低抗していた。今後、個別の政策に即してより実証的に考察していきたい。
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