Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
上述の研究課題名において,これまで過去2年間,溶液中分子集団の時間分解coherent anti-stokes Raman scathering(CARS)スペクトルには,分子間二体相関の位相緩和,溶質分子の緩和及び溶質分子から溶媒分子へのエネルギー緩和の三種の過程が反映されることを明らかにした。本年度は我々の時間分解CARS理論を検証するため,岡本,吉原(分子研)が行った純ペンゼンの時間分解CARSプロフィルに現れるサブピコ減衰成分の原因解明を行った。ことなるサイトに存在するベンゼン二分子がフェムト秒パルスによりコヒーレントに励起された後,Raman遷移間の干渉による分子間位相緩和がサブピコ秒の減衰のオリジンであることが明らかにされた。さらに,コヒーレント光の偏光依存性が,この系に於いて,見い出されており,この依存性も我々の時間分解CARS理論で説明出来ることが示された。すなわち,分子の回転自由度を振動自由度と同じく,量子化して考えて,フェムト秒パルスにより,回転振動状態が,Impulsiveに励起され,コヒーレント状態が生成され、この状態が,干渉して(destructive interference),プロフィルが減衰する。CARS分光法に代表されるコヒーレント分光法と,通常のRaman散乱に代表されるインコヒーレント散乱法に現れる溶液のゆらぎ効果の違いを明らかにするために,共鳴エネルギー(振動)移動に例にとって,Liouville空間のファイマンダイヤグラム技法により,移動機構を研究した。分子間相互作用として,遷移双極子-双極子相互作用を考えた。解析の結果,この分子間相互作用の働きは,始状態と終常態の振動数差にゆらぎ誘起させるのではなく,始状態と中間状態との振動数差にゆらぎを誘起されることが明らかになり,インコヒーレントRaman散乱バンド幅には,共鳴エネルギー移動効果が寄与しない事がわかった。
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