Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
本研究は、溶液および凝縮系における溶質一溶媒間の強い相互作用が溶質の電子構造に及ぼす効果について研究し、これらの成果を基に超臨界流体のような弱い相互作用系に研究を発展させることを目的としている。次に示す成果を得た。 1.フタロシアニン錯体の励起三重項状態の時間分解ESR研究 いくつかの反磁性フタロシアニン錯体(Na_2Pc,MgPcZnPc)のT_1状態の時間分解EPRスペクトルを初めて検出し,緩和過程に対する金属イオンの効果を明らかにした。Na_2PcとMgPcのEPRスペクトルは,低磁場側がマイクロ波の発光で,高磁場側が吸収であることから,面内副準位への優先的項問交差緩和である。一方、ZnPcではスピン分極パタ-ンが逆であることから,最低面外副準位への項問交差緩和速度が最大となっている。これらのフタロシアニン錯体では,零磁場分裂定数のE値が零でないことから,励起状態で4回対称をもたないことが明らかである。 2.ピリジン誘導体の励起三重項状態に対する溶媒極性の効果 4ーアセチルピリジンのT_1状態は,主としてカルボニル ^3nπ^*の性格をもち,スピン軌道相互作用により ^3ππ^*が混合している。混合の割合は溶媒極性に著しく依存することが、77KにおけるT_1状態時間分解EPRスペクトルから明らかにされた。他の電子吸引基をもつピリジン誘導体では,ピリジン ^3ππ^*状態との混合状態である。このために,面外副準位が中間副準位になっているのが特徴である。これらの電子状態の混合のために,励起状態における構造の歪みがひき起される。 3.ピリジニルラジカルの不対電子軌道に対する溶媒効果 種々の溶媒中におけるラジカルの超微細構造が解析され,不対電子の入った分子軌道の係数が溶媒から受ける影響を求めた。これから,真空中のラジカルの不対電子軌道を求めることができた。
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