Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
電場がかかっている状態での電子・イオンの再結合の速度を測定することが東工大の新坂・籏野のグル-プによって行われてきている。この実験の特徴は,電子・イオン再結合反応の定数と電子の易動度を同時測定できることである。再結合反応定数と易動度との間の比例関係が強電場状態で破れ,Debye理論(1942)では説明できないことが明かとなった。Debye理論は,拡散粒子の運動量が熱平衡状態にあることを仮定し導かれるSmoluchowsky方程式を基礎としている。電場がかかっていて電子が電流として流れている状態は基本的に非平衡状態であるから,運動量分布がMaxwell分布からずれているものと予想される。我々は,CohenーLekner(1967)の理論に従い,運動量分布関数に対する発展方程式の定常解を解析した。一般に,Ramsauer効果として知られているように,散乱断面積は入射エネルギ-に依存し,特に,気体中における運動量緩和ではこのエネルギ-依存性は無視できない。しかしながら,液体においては低温のため運動エネルギ-分布が狭いため,この依存性を無視できるのである。よって我々は二つの散乱断面積を定数パラメ-タ-として,液体メタンと液体アルゴンについての易動度の電場依存性に関する実験結果を再現することができた。そこで,次に,ク-ロン力で電子を吸引する中心イオンの存在のもとで,電子の分布関数の発展を解析した。空間座標も考慮した分布関数に対する発展方程式において,空間変化に依存する項を摂動とし,空間分布に比べて運動量分布が速く定常状態に緩和すると仮定した。射影演算子による減衰理論の方法で,任意の電場強度でも有効な一般化されたSmoluchowsky方程式を導いた。これよりOnsagerの近似により,一様濃度からの初期の再結合速度を求め,実験結果との比較を行った。低電場・高電場の極限は解析的に扱えて,定性的には液体アルゴン・メタンにおける実験結果を説明できる。
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