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¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
今回の研究目的は、細胞内のNa,Kイオンの動的パラメ-タ-をin vivo測定し、細胞内における電解質構造を明らかにすることである。生体の主要電解質Na,Kイオンは、1)スピンが3/2のために,多量子遷移が存在する。2)細胞内外の各区画に濃度差が存在する。3)各区画での四重極相互作用の程度が異なる。その結果、緩和機構が複雑になり、分析しきれなかった。その解決方法として、A)二量子フィルタ-磁気共鳴法により、四重極相互作用の大きさを検出する。B)細胞内イオン濃度を変え、変化分を分析する。という二つの手段がある。 今回、細胞内のイオン量を長時間人工的にコントロ-ルするため灌流ラット唾液線を材料に用い、8.45Tの静磁場でDQf NMR測定を行った。その結果次のパラメ-タが測定できた。1)細胞内KイオンのT_2緩和速度:(25℃)1860ー4060sec^<ー1>(|ー1/2><ー3/2| |1/2><3/2|),540ー300sec^<ー1>(|1/2><ー1/2|).2)細胞内NaイオンのT_2緩和速度(25℃1360sec^<ー1>(|ー1/2><ー3/2| |1/2><3/2|:s_1),95sec^<ー1>(|1/2><ー1/2|:s_2).3)細胞内KイオンNaイオンのsingleーpulseスペクトルは二つのロ-レンツ曲線の重畳したhomogeneous biexponential spectraである。 次に細胞内KイオンNaイオンの緩和機構modelの検討を行った。細胞内のNaイオン濃度を変化させた時見かけの四極子結合定数は1.8ー1.9MHzで一定であった。また、温度を5℃から37℃の範囲で変化させた。緩和速度定数の比(s_1/s_2)は、温度低下より3から30に増加した。得られたs_1,s_2は見かけの結合定数2.0MHzの線上にのった。この結果は、測定された細胞内のKイオンNaイオンが均一なslow motion conditionにある成分であることを強く示唆した。測定された細胞内のKイオンNaイオンが均一な成分とすると、細胞内Naイオン(25℃):相関時間6.7x10^<ー9>sec,四極子結合定数1.95MHzと計算された。今回測定されている成分は細胞内に流入し増加した成分であり、生理機能を発揮するときに輸送されるイオンである。
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