Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
地球などの天体の磁場生成のメカニズムの研究をするとき,磁場・速度場が非線型方程式の連立解として与えられること,本質的に3次元の計算が必要となることのため,解析的取扱いと数値計算が共に極めて困難である.更に,従来行われてきた天体磁場生成に関するシミュレ-ションの計算方法(固有関数展開方法)では,固有関数評価に相当の手間がかかり,膨大な計算時間が必要とされてきた. 本研究では,θ,r方向にはスプライン法,φ方向にはスペクトル法による微分評価を行い,3次元球座標格子上の電磁流体力学計算を行うスキ-ムを開発した.このスキ-ムは物理量の空間微分の評価において,固有関数展開法と同程度の精度を維持しながら,計算時間を短縮できるという利点がある.計算スキ-ムがダイナモ問題に応用できるためには,(1)球面の境界条件を正確に扱うこと,(2)特に真空中のポテンシャル磁場と滑らかに接続することができることが必要であるが,本研究で開発したスキ-ムはこれらの要請を満たしている. 開発したスキ-ムをテストするため,上記と同じ要請を持つがダイナモよりは容易な問題として,太陽風ー非磁化惑星(金星・火星)・衛星(月)相互作用の問題を扱いスキ-ムの有効性を確認した.この問題の場合,中心には電気伝導度有限の惑星・月中心核があり,電気伝導度の非常に低い地殻(電磁気学的には真空)を隔てて電気伝導度の高い磁化プラズマが流れている.太陽風に流されてきた惑星間空間磁場は真空層を貫き中心核と相互作用を始める.特に月の場合,このような描像はアポロによる探査の時代から知られていたが,3次元計算の困難のため,完全な解は知られていなかった.本研究で得た計算結果はまだ予備的なものだが,今後より現実的なパラメタのもとでの計算を行うことにより,月の構造などについても新しい知見が得られる可能性がある.
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