異常原子価をもったケイ素化合物の構造と反応性に関する理論的研究
Project/Area Number |
02247213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山邊 時雄 京都大学, 工学部, 教授 (80025965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 明知 京都大学, 工学部, 講師 (40135463)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
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Keywords | 異常原子価 / ケイ素化合物 / 窒化ケイ素 / シリコンのエッチング / ド-ピング効果 / 5配位構造 / 反応座標 / ab initio計算 |
Research Abstract |
窒化ケイ素の化学蒸着(CVD)による合成の反応経路の一つとして、シランとアンモニアの反応(1)SiH_4+NH_3→SiH_3NH_2+H_2についてab initio分子軌道計算を行った。比較のため、メタンとアンモニアとの類似反応(2)についても計算を行った。反応(1)は反応(2)よりも速度論的にも熱力学的にも有利であった。シランと水およびメタンと水との反応についても同様の結果を得た。シランの方が求核置換の反応性が高いのは、シランの方が遷移状態の安定化が大きいためである。これはシランとメタンではLUMOが異なっていることによる。一方、シリコンのフッ素によるエッチング反応は、半導体の微細加工上、重要な技術である。ケイ素に結合したF数のエッチング反応への影響を調べるために反応(3)F_xH_<3ーx>SiSiH_3+HF→SiF_<x+1>H_<3ーx>+SiH_4(x=0ー3)についてab initio分子軌道計算を行った。x=2まではSi上のFの数が増すにつれて反応が熱力学的にも速度論的にも有利に進むことがわかった。つまりSiにFが多く結合するにつれてSiとFの置換が容易になり、FがSi上に凝縮して行き、最後に揮発性のSiF_4が生成脱離してシリコンがエッチングされると考えられる。このようなFのマイグレ-ションモデルは、SiF_3基を多く含む層がエッチング中に生成しているという実験事実とよく一致する。シリコンのエッチング反応に存在するド-ピング効果についてもモデル反応のab initio分子軌道計算を行った。SiーSi結合のFによる切断は、未ド-プシリコンよりもド-プした状態の方が容易となった。しかし、p型シリコンではFにより切断したSiーSi結合がさらにFにより架橋された安定な構造(SiーFーSi^+)を形成しフッ素化層が厚くなるとともにエッチング速度が遅められる。n型ではFがケイ素に配位した5配位構造が安定な反応中間体として形成されるためエッチング反応が速いにもかかわらずフッ素化層が薄くならない。こにように計算結果は実験結果とよく一致した。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)