Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
生物は多様性・柔軟性・耐故障性など,現在の人工システムでは実現が難しい優れた性質を持つ.自律分散システム論は,生物がこれらの優れた性質を持つ原理を抽出しそれを応用することにより,これまでにない優れた性質を持つ人工システムの構成法の確立を目指すものである.しかし,自律分散システム構成するサブシステムがどのような性質を持てば,全体のシステムが多様な目的や外部環境にふさわしい挙動を示すのか,あるいは柔軟性・耐故障性のような性質を持つのかという問題に対する答は,まだ得られていない.この問題を解明するためには,まず自律分散システムを構成するサブシステムの局所的なダイナミクスの協調原理,大域的秩序の形成原理を解明する必要がある。そこで本研究は,全システムの挙動を決定する大域的なベクトル場の位相構造とサブシステム局所的ダイナミクスとの間の関係を解明することを目的として,新しい理論展開を行った.具体的に生物の運動パタ-ン発生システム(CPG)を,自律的神経発振器の協調による自己組織システムとみなしそれを基にした理論展開及びモデル化,シミュレ-ションを行った.その理論展開の際,大域的秩序をある変数(CPGの場合には発振器間位相差)により表すことができ,その変数によるシステム(ト-タルシステムと呼ぶ)が自律系・勾配系となれば,それは問題が低次元化され,システム全体の大域的な挙動が明確にわかることを具体的に明らかにした.また,そこでの理論をHopfieldニュ-ラルネットワ-クに展開し,これまで明らかにされていなかったその位相構造とエネルギ-極小点の分岐の可能性を示した.これらの理論的な考察を進め,具体的に検証するにあたり,本補助金で購入したパ-ソナルコンピュ-タ及びDSPアクセラレ-タ・ボ-ドは非常に有効であり,そのおかげで本研究は順調に進展できた.
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