Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Research Abstract |
高等植物の光屈性のエフェクタ-として機能する新規・機能物質ラファヌサニンの機能発現機能構について調べた。ラファヌサニンの植物界における分布を調べたところRaphanus属に広範囲に分布し、特に根部が球形のものに多く含まれていたことから、縦への伸長を抑え、横への肥大を引き起こす作用をもつことが示唆された。次にラファヌサニンの機能発現におけるタ-ゲットを探るために,植物ホルモン作用との関係を種々の生物検定を用いて調べた。ラファヌサニンはオ-キシン及びサイトカイニン活性を顕著に抑制したが、ジベレリン活性には効果がなかった。細胞伸長についてはオ-キシンとの相互作用で機能する可能性が高いことから、細胞レベルからオ-キシンの作用点の一つといわれている表皮細胞のマイクロチュ-ブルの配向性について免疫蛍光顕微法でラファヌサニンの作用を調べた。オ-キシンによって誘導される細胞長軸方向に対して垂直な配向変化をラファヌサニンが抑制し、水平方向に配向させることが分かった。更にオ-キシンによって維持される垂直な配向を極めて短時間で水平方向に変化されることも分かった。つまり、光によって誘導されるラファヌサニンの生成が内在するオ-キシンとの相互関係においてマイクロチュ-ブルの配向を乱す結果,細胞伸長を抑制し,光屈性を引き起こすと考えられる。また,生体高分子の動態に対するラファヌサニンの影響を明らかにするために二次元電気泳動を用いて調べた。オ-キシンによって誘導されるタン白質合成のうち、少なくとも二種類のタン白質の合成がラファヌサニンによって阻害される結果を得た。これらのタン白質の本体及びその機能,更にラファヌサニンのアナログ(現在製造中)を用いた,機能発現における精密構造認識の機構についての詳細な研究は今後の問題として行っていく。
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