記憶機能への海馬の量的・質的関与の様態に関する研究:一過性全健忘症例を通して
Project/Area Number |
02255217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田邉 敬貴 大阪大学, 医学部, 助手 (90171818)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昌泰 大阪大学, 医学部, 助手 (20192346)
木村 和文 大阪大学, 医学部, 助教授 (40028402)
橋川 一雄 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
原田 貢士 大阪大学, 医学部, 助手 (70156503)
奥田 純一郎 大阪大学, 健康体育部, 助教授 (30093389)
|
Project Period (FY) |
1990
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
|
Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
|
Keywords | 記憶 / 海馬 / 一過性全健忘症 / MRI / SPECT |
Research Abstract |
目的:一過性全健忘症(Transient Global Amnesia:TGA)例の記憶能、並びに海馬の形態的および機能的異常について検討し、海馬の記憶機能への関わりの様態を研究する。平成2年度は以下の検討を行なった。 対象:Hodges et al.(1990)の定義を満たすTGA例10名(男1名、女9名;平均年齢60.8歳)。 方法:記憶検査には主としてWechsler Memory ScaleーRevised(WMSーR)を使用。形態的にはSiemens社製Magnetom 1.5Tesler超電導型MRIを用い、対象者の海馬を5mm幅で体軸断および冠状断につき検討。機能的検討にはIMPあるいはHMーPAOSPECTを用いた。 結果:1)発作中に記憶検査を施行しえた症例6では、著明な前向健忘並びに数カ月間の逆向健忘を認めた。発作後、明らかな記憶機能の低下は全例自覚しておらず、症例8、10を除き(言語性記憶の軽度低下)、発作後一週以降に施行したWMSーRにも異常は認めなかった。2)10例中8名の海馬CA1野に点状の小病巣を認めた。高齢の症例9、10にのみ側脳室下角の軽度の拡大がみられ、症例10ではさらに左外側溝の拡大もみられた。3)発作中にSPECTを施行しえたのは症例6のみであり、症例5、9、10を除き発作後のSPECTには異常は認められなかった。 考察:海馬は記憶の解剖学的基盤として最も重視されており、またそのCA1領域は脳虚血に最も脆弱性の高い部位の一つとして知られている。症例6の発作中のIMPーSPECTは、後大脳動脈領域の低灌流を示した。従って大多数の例で認められたMRI上のCA1野の小病巣は、側頭葉内側部への一過性の血流低下により生じた可能性が高い。ただし発作前にMRIは撮影されていないので、今後TGAの既往のないTGA例と同年齢者の海馬に類似の病変が存在するかどうかの検討が必要である。いずれにしろ今回の結果は、TGA例の海馬の精査の必要性を示している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(3 results)