Project/Area Number |
02255218
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有働 正夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (60009983)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 大脳基底核 / ド-パミン遮断 / 線条野・黒質網様部シナプス / 歩行運動 / 外乱 / 登上繊維応答 / プルキンエ細胞 / 適応的制御 |
Research Abstract |
本研究においては、シナプス伝達の長期的変化が生じることが判明しているニュ-ロンをふくむ運動制御系において、歩行運動パタ-ンの長期的変化がどのようにあらわれるかを明らかにしようとした。 (1)大脳基底核:ネコの大脳基底核黒質網様部に、ド-パミン受容体の遮断剤であるSCH23390をマイクロシリンジを用いて1日20μgずつ、5ー7日間注入した。黒質網様部ニュ-ロンの単一放電を記録し、線条体を刺激することにより、線条体・黒質網様部のシナプス伝達をしらべた。その結果、SCHの注入後には、短潜時の興奮性シナプス伝達および短潜時の抑制性シナプス伝達が亢進していることがわかった。興奮性シナプス伝達の亢進は、歩行運動の発現を妨げる方向にはたらき、パ-キンソン氏病の発症機構とも関連しうる所見である。抑制性シナプス伝達の亢進は、ド-パミン遮断により線条体・黒質網様部のGABA性シナプスにおけるGABAの放出が減少した結果、黒質網様部ニュ-ロン上のGABA受容体の感受性が亢進したためと考えられた。以上により、ド-パミンの正常な放出が、興奮性シナプス・抑制性シナプスを介して歩行の開始や定位に関与することが考察される。 (2)小脳:大脳を除去したネコを改良型トレッドミル上で歩行させ、歩行中の一肢(左前肢)を除く三肢を定速で駆動し、左前肢のみは高速で駆動した。この方式で左前肢だけが毎ステップ高速で駆動されるので他肢(とくに左前肢)が早期に着地するように適応することが、歩行中の姿勢の安定のためには合目的である。このような左右肢の協調運動の適応が50ー100歩の間に実際におこり、適応の過程で右側小脳の右前肢を制御するプルキンエ細胞に登上繊維応答が生じることがわかった。この登上繊維応答により平行繊維→プルキンエ細胞のシナプス伝達が変調するか否かの問題は今後に残された。
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