Project/Area Number |
02256210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
藤沢 敏孝 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教授 (60000262)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
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Keywords | ヒドラ / 幹細胞 / フィ-ドバック / 神経因子 |
Research Abstract |
本研究ではヒドラ幹細胞の維持、増殖の機構を詳細に解析した。用いた方法はヒドラの正常系統から幹細胞系譜の細胞(幹細胞、神経細胞、刺細胞、腺細胞)を完全に除いた上皮ヒドラに少数の幹細胞を導入し、その動態をモニタ-することである。方法1:上皮ヒドラの上半部と正常ヒドラの下半部を1日間だけ接ぎその後は下半部を切り捨てる。24時間の接合中に約250の幹細胞が下半部から上半部に移動するがつぎの2日間は幹細胞数は顕著に減少し、その後急速に増加する。神経細胞は連続的に増加する。定量的な解析から幹細胞数減少の理由の第一は細胞死であり、第二は神経細胞への分化比率の増大である。方法2:上皮ヒドラの上半部と正常ヒドラの下半部を接合したままにしておく。この接合個体の上半部では幹細胞数も神経細胞数も連続的に増加した。方法3:方法1で1日間後に切り出した上半部とヒドロキシウレア(HU)処理により幹細胞を消失させ、かつ他の細胞の組成を変化させたヒドラの下半部を再接合しその後の幹細胞数を測定した。その結果、神経の存在下のみ幹細胞数は方法2の結果と変わらず連続的に増加した。方法3:約200個の幹細胞と10個の神経細胞を持つ正常小組織片を上皮ヒドラの側方に移植した。移植した幹細胞は急速に連続して増加し、幹細胞の密度がほぼ正常値になった時、増殖速度も正常値に戻った。 以上の結果からつぎの事が明らかとなった。(1)上皮のみからなる組織は幹細胞の維持に適さない。幹細胞の維持には神経細胞が必要である。(2)ある値以上の神経細胞が存在するときは、幹細胞の増殖速度はその密度によって異なる。即ち、幹細胞自身のフィ-ルドバックシグナルが自己増殖率(Ps)を制御していると考えられる。(3)幹細胞の移動は正常系統で観察されたのと同様移植後一時的にしか起こらない。
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