糖転移酵素阻害に伴うPDGF依存性癌細胞増殖抑制のガングリオシドによる解除の機作
Project/Area Number |
02259201
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 聰 東京大学, 薬学部, 助教授 (40092283)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | シアル酸転移酵素阻害 / ガングリオシド / 血小板由来成長因子 / 細胞増殖 |
Research Abstract |
シアル酸転移酵素阻害物質(KIー8110)を用いてcolon adenocarcinoma 26由来の高転移性瘍細胞NLー17の細胞表面複合糖質を修飾するとこの細胞の血小板由来成長因子(PDGF)依存的増殖が抑制されること、そしてこの抑制は微量のガングリオシド混合物を加えると解除されることを発見した。その機作を検討するため、まず増殖抑制解除作用を示すガングリオシド分子種について調べた。その結果、GD1bに抑制解除効果が認められ、GD1aとGT1bにはPDGFの有無と関係なく増殖を増強する効果が認められた。一方、GM3は明確な増殖阻害効果を示し、GD3とアシアロGM1は弱い阻害効果を示した。本実験で効果の認められたガングリオシドの濃度は、0.1〜1nMと低く、生理的にも意味のあることが示唆された。次にこのようなNLー17細胞におけるKIー8110による増殖抑制とそのガングリオシド添加による回復が、正常細胞や他の腫瘍細胞をPDGFで刺激した時にも起こる現象かどうか、すなわち細胞増殖抑制におけるガングリオシドの役割の重要性の一般化を検討するため、マウス胎児由来細胞Ba1b/3T3細胞を用いて検討を加えた。NLー17細胞と同様にBa1b/3T3細胞はPDGFによって濃度依存的に増殖が増強されるが、KIー8110によって増殖抑制をうけた。この増殖抑制は、GD1bとGT1bにより解除されたが、GQ1b、フコシルGM1にも弱いながら解除効果が認められた。一方GM1、スフィンゴシンは濃度依存的に増殖を抑制し、GM3、GD3、GM2、GD1a、アシアロGM1、ラクトシルセラミドには正の効果も負の効果も認められなかった(0.01ー5μMの濃度範囲での効果)。以上の事実は、特定のガングリオシドの存在が、PDGFレセプタ-の機能発現に本質的に必要であることを示唆していると考えられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)