Research Abstract |
21世紀をめざす先端技術の領域,特に生体関連分野と電子材料分野では,物質とその集合体の情報計測に関し,超超微量レベルの識別技術と分離技術の格段の進歩を強く求めている.本研究では,物質識別機能の高機能化に関する第一線の研究者を中心として,これに分離科学を専門とする研究者を加えた研究組織をつくり, (1)イオンの分子認識と精密分離,(2)非イオン性化学種の分子認識と精密分離,(3)生体関連物質の認識と精密分離,(4)化学計測における情報変換と分子認識,(5)分離化学における理論と新しい方法,の五つの研究項目を設定し,各研究者間の緊密な研究連絡を行うとともに,本研究分野の将来の展望を模索した.東京で,第1回研究連絡会議を開催し,研究成果の現状と将来への展望に関して,活発な討論を行なった.次いで将来の重点研究領域への発展を期するための研究態勢の確立,将来展望,重点研究項目について討議した.その後,大阪で,各専門分野の代表者による分子認識と精密分離の関する研究の現状と将来への動向等についての第2回研究連絡会議を持ち,重点研究領域への展開についてさらに討議を深めた.一方,学会活動としては,代表者らは,「特異的分離を併用するトレ-スアナリシスの新展開」を主題とする国際シンポジウム“International Trace Analysis Symposium 1990"(1990.7:仙台,桐生)を組織し,9ケ国からの25名の外国人研究者を含む173名の参加をえて,実りある情報の交換に成功した.また,平成2年12月15日,本研究班が主催して,公開シンポジウム「化学認識機能を利用する超精密分離と物質情報計測」(講演4件と総合討論)を,学士会館分館で開催した.理,工,薬,農,医,にまたがる広範な研究者が,大学,研究機関および企業から60名を越えて参加し,活発な意見交換が行われ有意義であった.研究成果報告書(冊子)を編集し発行した.
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