Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 明 名古屋大学, 理学部, 助手 (60143913)
鈴木 晋一郎 大阪大学, 教養部, 助教授 (70116052)
田中 晃二 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 教授 (00029274)
北川 禎三 岡崎国立共同研究機構分子科学研究所, 教授 (40029955)
森島 績 京都大学, 工学部, 教授 (50026093)
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Research Abstract |
本研究は重点領域研究実施の準備段階として、将来の生物無機化学の中心課題を見極め,新しい基本概念と新しい研究手法を導入して研究を展開するための研究調査活動を意図した。このため、生物無機化学に関連する錯体化学,生化学,生物物理化学,有機化学など多分野の研究者によるシンポジウム「生物無機化学の現状と将来への展望」を開催し、学際的共同研究の基盤を作ると共に新しい研究手法の適用法を論じた。 1.新しい生物無機化学の基本構想 これまでの研究が生体関連金属錯体の静的構造と性質の解明を中心課題としてきたことをふまえ、本研究は新しい生物無機化学がこれまで解明されなかった金属イオン関与の生体内反応の動的側面と反応過程を解明すべきであることを明確にした。すなわち、反応と情報伝達,動的構造,反応のコントロ-ルメカニズム等の究明の必要性,また、生体系の構造の分子レベルでの解明に基づく精密モデル化とこれによる新しい化学反応系とその機能の創造の重要性がそれぞれ認識された。 2.新しい研究手法の導入と学際的共同研究 上記の研究目的を達成すべく時間分解分光学的手法、極限状態でのスペクトル測定,溶液中および固体状態での構造解明に対処できるように共同研究体制を整えた。一方、遺伝子操作,タンパク質分離などを伴う研究を有効に推進するため,生化学,分子生物学の手法の導入を学際的に行うことにした。 3.今後の計画 本研究により生体関連金属錯体が関与する動的多重相互作用の解明、金属タンパク質の構造と反応過程の新手法による解明、生体モデル反応系の構築などの研究成果があげられた。これらの研究に立脚して、今後さらに情報伝達の概念をとり入れた錯体反応,金属酵素の反応と補酵素の関与,生体内電子移動,反応のコントロ-ル、生体系金属錯体の精密構造等の解明と新しい錯体機能の創造を目指す。
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