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¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
Fiscal Year 1990: ¥4,900,000 (Direct Cost: ¥4,900,000)
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Research Abstract |
共役ポリマ-,有機電荷移動錯体など一次元的異方性をもつ電子系は格子との強い相互作用により,電子トランスファ-エネルギ-が周期的に変調された結合秩序波(BondーOrderetーWave:BOW)状態を示す場合が多い。本研究では,付加的な鎖間相互作用によって,BOWーnonBOW相間の,あるいは異なるBOW歪を持つ相間での一次構造相転移を示す物質群を対象として,相変化が温度の変化ではなく電子系の光励起によって誘起される様な新らしい現象を発見することに努めた。BOW系での最低光励起状態は,局所的な電荷移動(CT)励起であるが,二つの相の自由エネルギ-が接近している場合には,CT励起の格子緩和過程が協力現象的に格子構造の変化を引き越こすことが期待出来る。特にパルス光照射によって一次の構造相転移が誘起される場合に,核形成の初期過程や周期的なメゾスコピックパタ-ンの過渡的形成などの動的現象を時間分解分光法によって調べた。具体的には,以下のような成果を得た。(1)光誘起相転移現象観測に必要な良質単結晶の合成,特に側鎖にアルキル-ウレタン基を有するポリジアセチレン,中性ーイオン性転移を示すTTFータロラニル(CA)スピンパイエルス的転移を示すアルカリーTCNQ単結晶を作製した。(2)レ-ザ-励起とFTーIR等の分光系を組み合わせた光誘起スペクトル測定装置を作成し,実験を行った。その結果,TTFーCAではイオン性相中に巨大な中性相デメインの光注入,アルカリーTCNQでは光誘起逆スピンパイエルス転移,ポリジアセチレンでは光誘起可逆AーB相転移が,それぞれ起きることが明らかとなった。来年度も,現在の研究を継続して,さらに多くの光誘起相転移を示す系を探索すると共に,より時間分解能の高い測定系を作り,そのダイナミクスに関する知見を集積する予定である。
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