Budget Amount *help |
¥6,700,000 (Direct Cost: ¥6,700,000)
Fiscal Year 1991: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥5,000,000 (Direct Cost: ¥5,000,000)
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Research Abstract |
本研究は,遷移金属酸化物の酸素不定比量の変化と表面吸着酸素量の変化とに基づく酸素の吸放出を分離定量し,酸化物の不定比性と酸素吸着平衡を各々熱力学的立場から解明することを目的とした.表面積の大きく異なる試料を作製し,両者の温度、雰囲気酸素分圧によって決まる平衡重量がどの様に異なるかを熱天秤で精密測定することにより,通常分離し難い酸素不定比量と吸着酸素量の分離定量を試みている.導電性酸化物,電極材料,センサ-材料などとして注目される酸化スズ,安定化ジルコニア,およびペロブスカイト型酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_3を対象とした.当初計画期間の2年を経過し,以下の成果を得ているが,初期目的を充分に達成していないため、更に一年ほど研究を継続する予定である.(1)酸化スズ:本研究期間に先駆けて測定した酸化スズ微粉体試料の酸素分圧,温度による重量変化の測定結果に,同試料の表面積測定結果を加え,それらの測定結果をラングミュア吸着等温式の温度微分式と固体内の欠陥平衡式を組み合わせる新らたに考案した解析法を適用して詳細に解析した.その結果,酸素スズ表面の吸着酸素量,微分吸着熱,格子内の不定比酸素量,欠陥平衡定数などを定めることに成功した. (2)安定化ジルコニア:1000℃以上で焼成し、最大20m^2/gの任意の比表面積を有する試料の作製に成功し,併せて合成条件,微粉体粒径と相関係の関連を解明した。800℃程度以下の温度における酸素吸着量を熱天秤で測定し始めているが,粉体の飛散,室温変動による熱天秤の零点シフトなどの誤差要因のため,まだ確実なデ-タを得るに至ってない. (3)La_<1-×>Sr_×MnO_3:(LaSr)/Mn比が1から僅かにずれただけで高酸素雰囲気中での不定比量に大きな変化が出ることなど新たに見いだされ,吸着酸素量を求める前段階としての,表面積の小さい試料による酸素不定比量の正確な測定を進めている.吸着測定は今後の課題である.
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