Research Project
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
1.はじめに:本研究は、むし歯予防に対する「砂糖摂取の制限」「徹底した歯磨き」の教育効果の評価を行うことを目的とする、幼児健診における歯科検診と指導の機会を利用しての介入研究である。当該年度では、1歳6か月健診時、3歳児診断時における各群間の齲蝕有病率の検討を行った。2.対象:石川県輪島保健所管内の輪島市と岩手県久慈保健所管内の久慈市の平成3年1月から12月の1年間に1歳6か月健診を受ける幼児とした。3.方法:1歳6か月児健診において、受診月ごとに被検者を「従来の教育方法+砂糖制限」群、「従来の教育方法+歯磨き教育」群、「従来の教育方法」群の3群に分け、健診時の指導をはじめ、その後家庭訪問や手紙などによる教育を行い、3歳児健診時に判定を行った。解析では、研究期間における一人平均乳歯齲蝕経験歯数(dmft指数)の増量を用い、全顎、上顎左右中切歯、上下顎左右第一乳臼歯および上下顎左右第二乳臼歯の4項目について3群間での差を比較した。4.結果:解析対象は「従来の教育方法」群95、「歯磨き教育」群57、「砂糖制限教育」群44で、合計196であった。解析の結果は表に示すとおり、いずれの項目についても、3群間で有為な差は確認できなかった。5.考察:これまでの観察的研究では、乳児の齲蝕予防には、砂糖の制限がより有効であることが示されている。そこで、砂糖の制限と歯磨きとについて、強力な介入を行うことにより、その効果を確認する調査を行ったが、明確な関連を明らかにすることはできなかった。対象となった母親の感想として、実行の困難さが出されており、今回の結果を生活習慣の実際の改善と関連づけて検討する必要がある。