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¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
Fiscal Year 1990: ¥4,500,000 (Direct Cost: ¥4,500,000)
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Research Abstract |
潰瘍性大腸炎は慢性持続化や再燃緩解を繰り返す難治性疾患であり,終末像は潰瘍や仮性ポリポ-シスを呈するが,それまでに至る過程の大腸粘膜は,発赤,易出血性,びらんがみられ,このことは粘膜内や粘膜下の炎症による血管反応が惹起されていると考えられ,以下の研究を行った。 1.DR抗原陽性活性化T細胞とILー2レセプタ-陽性T細胞の動態:活性化T細胞は膜表面にDR抗原を発現することから,その染色は抗Leu 2a(CD8)およびLeu 3a(CD4)抗体にFITCを標識し,さらにPE標識の抗HLAーDR抗体を用いた蛍光抗体二重染色法を行い検討したところ,本症では粘膜固有層単位面積当たりのCD4およびCD8陽性細胞数は増加し,かつDR陽性の活性化CD4陽性細胞が有意に増加していた。さらに大腸粘膜上皮のDR抗原陽性群と陰性群に分けてT細胞の活性化率を検討すると,粘膜上皮DR抗原陰性群では陽性群に比し,CD4陽性細胞の活性化率が有意に増加していた。また腸粘膜中のILー2レセプタ-陽性細胞も著明に増加していた。血清中可溶性ILー2レセプタ-値は活性化T細胞の指標ともいわれているが,本症では有意に増加していた。大腸粘膜内活性化T細胞とサイトカインの関係では,CD4陽性細胞の活性化率と血清ILー6や可溶性ILー2レセプタ-濃度との間には正の相関がみられた。 2.大腸粘膜内顆粒球およびマクロファ-ジが発生するケミルミネッセンスの検討:顆粒球とマクロファ-ジが発生するfree radicalsを発光剤ルミノ-ルを用いてケミルミネッセンス測定装置(ル-マット)で測定した。末梢血中では活動期に有意に亢進し,非活動期に低下を示した。また,大腸粘膜の生検材料を細切して測定したところ,対照に比して明らかにケミルミネッセンス値が高値を示し,本症の活動期にはfree radicalが炎症の悪化に関与していることが示唆された。
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