Research Abstract |
本研究は,ブラッシング動作を運動学的に計測,定量評価することにより,障害児へのブラッシング指導に役立てることを目的とし,調査を行った。まず対照として,健常者(12名)と幼児(10名)についてブラッシング動作解析を行い基準とした。そして障害児(5名)についても同様にブラッシング動作解析を行った。調査は,上顎前歯部唇面と下顎左側臼歯部咬合面を磨かせ,前方(前額面)と右側(矢状面)の2方向より2台のカメラにて同時にVTR撮影を行った。解析は,LAー525R/M8にて1/30秒ずつ5秒間,150シ-ンの画像処理を行った。1.歯ブラシが1回往復運動するのに要する平均時間は,健常者が0.27(±0.02)排,幼児が0.39(±0.10)秒,障害児は0.24秒であった。また5秒間に歯ブラシが動く範囲は,健常者が6.78cm^2,幼児が13.58cm^2,障害児は8.5cm^2であった。2.上肢の動きは,右尺骨頭部,右上肢肘頭部ともに健常者の方が幼児より速度は早く,そして動く範囲は狭く,安定した動きを認めた。障害児は健常者に近い数値であった。3.体幹の動きとしては,左右肩峰部と胸骨中央最上部とともに幼児の方が健常者より動く距離と範囲と速度は大きく,ブラッシング時に体幹が安定していないことを示していた。障害児は幼児と健常者の中間の数値であった。今回の補助金の大半は画像解析装置に使用したため,筋電計は本学所有のものを使用した。予備調査において,健常者に皿電極,針電極を装着したが,ア-チファクトが大きく,デ-タとしては不十分であった。また針電極は疼痛があるため,幼児,障害児への使用は困難であった。動作筋電図を皿電極にてとるためには,ア-チファクトを抑制できるWEBー5000(筋電計)が必要と思われた。今後は症例を増やすとともに,適切な動作筋電図を測定する必要がある。さらに歯ブラシの持ち方によるブラッシング動作の違いについても定量評価する予定である。
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