Budget Amount *help |
¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
Fiscal Year 1990: ¥9,600,000 (Direct Cost: ¥9,600,000)
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Research Abstract |
この研究の目的は,ラマン散乱光等の微弱光を精度高く測光するための一次元検出器を製作するための試作研究である。現在,紫外・可視領域で微弱光用に使われている多素子検出器としては,MCP(micro channel plate)式光増幅器と一次元フォトダイオ-ドを組み合わせたもの,およびCCD(charge coupled device)検出器がある。単体としての感度,ダイナミックレンジ,高速応答性は従来の光電子増倍管(PMT)が最もすぐれているが,これを一次元化しようとすると,その物理的大きさが問題になる。本研究では光ファイバ-を用いてこの問題の解決を図った。 受光部は内径200μm,外径250μmの石英製光ファイバ-を縦に20本並べて1チャンネル分とし,これを1.255mmの間隔で20組並べた。他端は円形に束ね,PMTの受光部に密着させた。光電面を冷却するため10mm厚の銅板に20個の穴を穿ち,PMTを差し込み,銅板に溶接した銅パイプに冷却水を流して,-10℃に保った。PMTの出力はソケット内蔵の増幅器と波高弁別器を通して,コンピュ-タのバスラインに接続した20個の計数器に入力した。 この検出器を焦点距離85cmのダブル分光器に取り付けてラマン散乱の測定を行なった。励起波長は406.7nm,10mWで,インデンの良好なスペクトルが3分で得られた。光ファイバ-の損失は感じられず,むしろPMTを直接取り付けるより明るかった。入射光量に対する計数値の直線性はPMTのそれをそのまま受け継いでいる。蛍光性物質への応用を特に期待する。また,MCP型検出器にみられるチャンネル間のクロスト-クも皆無である。他の多素子検出器との数値的な性能比較が目下の急務である。 現在は,チャンネル数が20のため,測定時に分光器の波長を少し掃引して間の点を測定しているが,1000チャンネルにするための下地は本研究により整った。
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