Budget Amount *help |
¥16,800,000 (Direct Cost: ¥16,800,000)
Fiscal Year 1992: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1991: ¥3,700,000 (Direct Cost: ¥3,700,000)
Fiscal Year 1990: ¥12,000,000 (Direct Cost: ¥12,000,000)
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Research Abstract |
当該年度では,臓器微小循環における酸素ストレスの動的解析を特に癌細胞に対する細胞障害性の面から検討した.腫瘍細胞が生体内に発生すると,まず免疫担当細胞の攻撃を受け,この攻撃から免れた腫瘍細胞がクローン化して臨床的に癌と把握されるわけである.平成3年度までに得られた結果から,生体内では酸素ストレスが種々の細胞に対して障害性を発揮していることが明らかとなった.従って,癌細胞に対する障害細胞に酸素ストレスを生ずる能力が強ければ,その細胞は癌細胞を排除する能力も大きいと判断される.大腸癌の肝転移モデルを作製し,肝臓に流入した大腸癌細胞に対して肝内のKupffer細胞が酸素ストレスを介して障害することをin vitro,in vivoで証明した.別に,ラット肝癌細胞とラットKupffer細胞を用いてoxidativecytotoxicityを解析した.Kupffer細胞は癌細胞のミトコンドリア機能を障害することが蛍光色素であるローダミン123を用いた実験で明らかとなった.この作用はnitric axide(NO)の阻害剤で阻止されたことからKupffer細胞のミトコンドリア機能を介した細胞障害作用はNOによるものと考えられた.さらにこの作用は癌細胞とKupffer細胞の接着が必要で,その際,細胞接着分子ICAM-1の関与が示唆されている.ヒトの系においてはヒト肝癌細胞とヒト好中球の反応を検討した.好中球の細胞障害活性は酸素ストレスを介したものであり,この作用は免疫賦活剤であるOK-432により有意に増強した.しかし,リンパ球の細胞障害は酸素ストレスとは無関係であり,両者の細胞の障害機序は全く違うものであることが証明された.以上の現象をin vivoにて検討する目的でヌードマウスにヒト肝癌細胞を移植し,その腫瘍を生体顕微鏡下に観察したが,腫瘍の形状が不整で,しかも堅い性状であるため腫瘍内の臓器微小循環の観察がたいへん困難であった.今後の課題である.
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