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¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
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Research Abstract |
本研究は、新しい原理に基づいた生体組織の変位計測システムを試作し、心筋内層から外層にかけての断層における心筋各層別壁厚変化の実時間評価への応用を目的とする。 具体的には,微小センサ(直径2mm,厚み1mm)を心筋表面に添付するだけで,心筋内各層の壁厚計測を可能とするトラッキング機構付きドプラ壁厚計を試作した。本システムの基本性能を確認した後,麻酔開胸犬7頭で,急性心筋虚血前後に虚血中心部の壁厚計測を行った。心筋虚血は冠動脈左前下行枝を閉塞して作製し,壁厚は心筋壁内中央部より心外膜側と心内膜側の2層に分けて同時計測した。併せて,左室短軸径および左室内左を同時計測し,心内膜側および心外膜側心筋壁の仕事率を計算・比較検討した。 その結果,対照時の壁厚変化の心内膜側/外膜側比は4.4±2.4であった。単位体積心筋が行う仕事率は心内膜側と心外膜側の壁応力を一様と仮定しても,心内膜側が心外膜側に比して3.1±1.1倍大きかった。そして,冠動脈左前下行枝の閉塞を行うと,閉塞後約5秒後から心内膜側および心外膜側のいずれにも仕事率の低下がみられたが,両者の低下開始時期には有意差はなかった。すなわち,心内膜側心筋の壁厚変化率,仕事率は心外膜側心筋のそれに比べ大きいため,虚血に対して不利であることがうかがわれた。しかし,左前下行枝の完全閉塞による急性心筋虚血時には心内膜側と心外膜側においては局所心筋機能低下の開始時期には顕著な差がなく,したがって虚血開始後の壁厚動態の経過が重要であることがうかがわれた。 以上のように,新しいシステムを試作し,基礎実験,動物実験を行った結果,本システムが局所心機能評価において実用性を有していることがわかった。今後臨床応用の為の実用システムの開発を行う計画である。
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