Research Abstract |
社会変動の理論的研究という研究課題のもとに、本年度は、1社会変動分析の方法論的検討、2社会構造概念の理論的検討、3社会変動の実証分析のための理論枠組の検討の3つの研究を行なった。 1社会変動論の方法論的検討、社会学の誕生以来今日までの社会変動論の代表的理論家として,マルクス,ウェ-バ-,ウォ-ラ-スティンをとり上げ,彼らの社会変動分析の方法を、(1)自然主義的な立場に立っているか、それとも反自然主義的な立場に立っているか、(2)歴史主義的な立場に立っているか、それとも反歴史主義的な立場に立っているか、という2つの視点から再構成した。そして社会変動分析の方法として、(a)自然主義的で歴史主義的な立場と、(b)反自然主義的で歴史主義的な立場が、ともに有効であることを明らかにした。 2社会構造概念の理論的検討、社会変動の中核をなすのは、社会構造の変動である。社会構造の概念化のしかたによって、社会変動の概念が意味するものもかなり異なってくる。そこで社会学における社会構造概念の特色を、レヴィニストロ-スを中心とする構造主義の構造概念と比較しながら究明した。その結果社会構造には、〈パタ-ンとしての構造〉の側面と〈規則としての構造〉の側面とがあることが明らかになった。 3社会変動の実証分析のための理論枠組の検討、戦後日本社会の変動を概観しながら、日本社会において変化した部分と変化しなかった部分とをえりわける作業を行なった。その結果戦後日本社会の変動は、経済の領域のみならず価値意識の領域にまで及ぶ全般的・根底的な変動の過程であることが明らかになった。そしてこの全般的・根底的な変動の過程を、時系列デ-タによって計量的に証明していく方法の検討を行なった。
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