日本中世における地域経済圏の成立とその展開過程の研究
Project/Area Number |
02610152
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Japanese history
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Research Institution | Fuji University |
Principal Investigator |
宮島 敦子 富士大学, 経済学部, 助教授 (80146109)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
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Keywords | 地域経済圏 |
Research Abstract |
今回のテ-マ「日本中世における地域経済圏の成立とその展開過程の研究」の目的は、キ-ワ-ド「地域経済圏」の中世における成立から発展の諸相を追求・検討することにあった。この点の成果としては、福岡市での数度にわたる調査によって、筥崎八幡宮神社にかつて所蔵されていた油座関係文書の写しを確認できたことである。これにより著名な石清水八播宮神社の油座活動と同様に、筥崎八幡宮神社にも油座が存在し、その販売上の独占権を行使した実態や油座を統括した奥堂氏の存在などを明らかにできた。その結果、従来充分に解明されていなかった中世都市博多の流通活動の実態が、中世前期から追求できるようになった。この研究は、今後『筑前風土記稿』に採収されている中世関係文書の分析を行うことによってより充実できると考える。つぎに伊勢国桑名を起点とする伊勢湾沿岸の「地域経済圏」と太平洋沿岸地域との流通構造の実態、および桑名地域と近江国湖東地域との結びつきなど、中世都市桑名の経済活動を解明したことによって、地域と地域を結ぶ中世の流通活動の非常にダイナミックな実態を後付けることが可能となった。特に従来は桑名と近江国や美濃国など内陸部との流通活動は知られていたが、今回の研究では。東京大学史料編纂所架蔵写本「称明寺本書」や「角屋文書」「角屋由緒書」などの調査などを通じて、鎌倉期から伊勢湾沿岸地域と関東の太平洋岸地域との流通関係の存在が確認でき、さらに鎌倉期の北条氏支配下の流通の実態と戦国期の後北条氏支配下のそれとが比較できた点では、流通の時間的変質という大変意義のある検討ができたといえる。以上のように今回の研究では、瀬関内海地域の流通活動が北九州地域とつながり、さらに大陸にまで拡大している全国流通網が構成され、一方で畿内から関東へも展開するダイナミックな中世の経済活動を解明できた点で非常に成果があったと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)