Research Abstract |
この研究の狙いは,一冊でルネサンス以前の英語史をカバ-するテクストを作成することにあったが,3年計画で行うため,本年は資料の収集に終始した。5月にヘルシンキの歴史言語学会に出席・発表したことは,本研究にも最大の成果となった。Matti Rissanen教授の計らいで,大会中朝7時半から夕方5時まで,こちらが望む時間にコンピュ-タ-を使わせてもらえたために,Helsinki Corpusから多くの資料をとり,のちに郵送してもらうことができた。また大会後アムステルダム大学の2つの図書館で文献学・言語学関係の書物を5日間通して調査することができた(ファクシミリの調査を滞在中に完了できなかったのは残念である)。国内では日本英語学会で11月に語彙論のシンポジウムを行い,さらに1991年5月に近代英語協会で迂言用法に関するシンポジウム,12月に日本中世英語英文学会で語形成に関するシンポジウムを行うことになったため,それらの打ち合せを兼ねて京都大学,同志社大学,名古屋大学,南山大学,東北学院大学に於て資料収集を行った。また9月には北海道大学でhistorical linguistics関係の論文を中心に収集した。 このように本年は基礎資料の収集と国内での学会活動に合わせた情報収集に重点を置いたが,テクストの作成にはどうしてもファクシミリと共に写本の調査が必要である。中世を代表する写本の中からspecimen pagesを選び出し,editし,notesをつける作業が残っている。幸いなことに1991年度日本学術振興会の特定国派遣員として7月から12週間,イギリスに滞在できることになったので,この期間に主な作業を完了し研究成果を発表するための出版社を決めるつもりである。
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