Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究の主要テ-マは,Predication(主述関係)の諸相を最新の生成理論の枠組みで解明することである。その成果の一部は日本葵文学会第62回大会シンポジュ-ムで口頭発表し,詳細な内容は国際的専門誌The Lingnistic Review(Foris出版社,オランダ)に受理・掲載された論文で発表した。 Predicationの中で特に昨近の理論言語学で注目されている二次述語に関して,理論的体系化する上で大きな成果を収めた。その主な主張点は次の通りである。(i)二次述語のうち主語に関係した述語は句構造標識のIPに,目的語に関係した述語はVpに支配されている。(ii)二次述語は相互m統御の条件のもとで成立する。(iii)その条件が成立するのはS構造である。こうしたことから,二次述語は,その構造上の位置を除いて,基本的に一次述語と性質を同じくしている,と結論づけることができる。 こうした結論を導びく過程で,幾多の独創的な議論を展開した。例えぱ,上記(i)を証明する上で,二次述語と右方移動の関係を論じたが,これは従来のPredication研究で全くみられなかったものである。また従来の研究では,二次述語がWH移動できないことに基づいて「二次述語は移動できない」と一般化されてきたが,移動操作の中には二次述語に適用可能なものと不可能なものがあることを初めて指摘した。これは従来の二次述語の扱いを根本から覆すものである。代案として,二次述語の移動の可否を,Chomsky(1989)が提唱する“表示の経済性の原則"に基づいて説明する方法を提案した。この説明法は,同原則をPredicationの点から積極的に具体化しようとするものであり,生成理論への理論的貢献は非常に大きい。
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