Project/Area Number |
02610226
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
独語・独文学
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
三浦 國泰 成蹊大学, 文学部 助教授 (30094105)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1990: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 啓蒙 / 近代 / モデルネ / ポスト・モダン / 古典文献学 / 文芸理論 / 脱構築 / 解釈学 |
Research Abstract |
本年度の研究実績としては、すでに科学研究費補助金研究の一部として『成蹊大学文学部紀要 第26号』(1990年度)に発表した論文がある(論文題目:近代と啓蒙のゆくえ ーーポストモダンをどう読むかーー)。 本論文の主旨は、科研費交付申請書(研究の目的)に記した通り、「タレスの幾何学」にその源流があるとされている論理的命題=理性的科学意識の成立に密接に関連する「啓蒙」概念と、その啓蒙概念に立脚して成立した「近代」の意味について「近代批判」の立場から論ずるところにある。思想史の通説では、科学(学問)の成立はミュトスからロゴスへの転換の中に認められてきた。ところでマックス・ホルクハイマ-、テオド-ル・W・アドルノは『啓蒙の弁証法』において、神話(ミュトス)の成立そのものの中に啓蒙的要素を指摘し、しかも啓蒙は自己崩壊的に神話に退化するという啓蒙それ自体がかかえる両義性(啓蒙の弁証法)を暴露した。こうした『啓蒙の弁証法』における啓蒙概念と近代性の検討作業は、「近代とは何か?」、そして「そのゆくえは?」と問うポストモダンの問題意識にとって極めて啓発的である。 本論文では、啓蒙的近代を成し遂げた18世紀西洋の規範的な啓蒙概念をカントにおいて検討し、さらにその批判的な立場の代表者としてヘルダ-の「相対的な歴史観」に言及した。このヘルダ-の独自な歴史観は20世紀の近代批判に通底するものがあり、その後、あらゆる西洋の既成の価値を疑うニ-チェの登場によって脱構築的な視座は決定的なものとなる。 今後の近代批判の有意義な課題は、こうしたヘルダ-、ニ-チェなどによって準備された近代批判とフランクフルト学派、ポストモダンの啓蒙批判の関係を的確に把握することの上に成り立つのである。
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