地域社会の変動と住民の法行動の関連性に関する実証研究
Project/Area Number |
02620002
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
佐藤 岩夫 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (80154037)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1990: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 地域社会の変動 / 市民の法行動 / 紛争 / 権利観念 |
Research Abstract |
本研究においては、地域住民の法的経験を起点にすえ、それを多角的に分析することを通じて、地域社会の変動と住民の法行動との関連性を解明することを試みた。研究の一環として実施した福島県棚倉町における質問票調査の(中間的)とりまとめの結果、以下の点が明らかになった。ー1.調査対象者の経験した法的問題類型としては、近隣紛争が最も多く、ついで自動車事故、契約紛争、行政紛争、家事紛争、その他の順であった。このうち近隣紛争においては、伝統的な紛争のほか、地域の生活構造の変化(伝統的農業地域への宅地的土地利用の浸透など)によって、当該地域における標準的行動様式や先住性の意味などを争点とする紛争の顕在化が見られた。2.調査対象者の紛争解決行動を通じて、紛争解決の伝統的な準拠集団としての地域集団の解体とそれに随伴する公的機関への依存現象が見られた。しかし同時に、とりわけ公的機関が当事者性をもつケ-スにおいては、地域住民の、伝統的な「公」への受動的姿勢がなお根強く残っていることも確認され、地域社会の変動と住民の法行動をめぐる複雑な交錯関係が明らかにされた。3.今回の調査の過程で、調査対象者の「自己の主張の内容」の説明が、なんらかの基準(法、地域の慣習、「常識」など)に焦点を合わせた説明(ル-ル志向型)と、相手との広い意味での社会関係に焦点を合わせた説明(関係志向型)に分岐する現象が見られた。この二つの類型の分岐と他の諸因子との間には現在のところ明確な相関は認められず、この点は、今後の課題である。このことにも関連し、調査対象者においては「権利」の観念がかなり拡散的に使用されており、これらの地域住民の意識構造における「権利」観念の属性についてさらに調査を深める必要がある。なお、上記の調査のほか、今後の比較研究の予備的調査として、他地域において若干のケ-ススタディ的な聞き取り調査をおこなった。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)