非定常的マクロ経済動学のミクロ的基礎付けとその累積債務問題への応用
Project/Area Number |
02630006
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
一般理論
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小野 善康 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70130763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 新介 神戸大学, 経営学部, 講師 (70184421)
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Project Period (FY) |
1990
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1990)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1990: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 動学的最適経済行動 / 流動性選好 / 時間選好 / ケインズ的不況 / 多国経済モデル / 累積債務 / サプライサイド・ショック / 近隣窮乏化政策 |
Research Abstract |
本研究は、最適経済行動を明示した動学的マクロ経済モデルを用いて様々な非定常的マクロ経済動学が効用関数の諸特性から導かれることを閉鎖・開放経済の両局面で示し、その経済厚生上の含意を明らかにした。成果は具体的に次の4つに要約される。第一に、時間選好と流動性選好という効用関数の特性から2つの主観的利子率を定義し、これら2つの利子率がケインズの一般理論にいう「流動性打歩の下限」が存在する貸幣経済では恒常的に求離する結果、不況をともなう非定常累積過程が生じうることは明らかにした。 第二に、多国(特に2国および3国)経済モデルの中で時間選好の国際的相違によってもたらされる均衡動学経路を導き、対外債務(債務)、消費、物価、および為替レ-トといったマクロ変数の、必ずしも単調でない非定常動学過程を明らかにした。 第三に、2国経済成長モデルの中で生産側のショックが法人税下の両国の経済厚生にどのような影響を与えるかを分析し、次の結果を示した。(i)生産側のショックの影響は、法人税による歪みの項(ミクロ効果)と富効果の項(マクロ効果)からなる。(ii)債権国における生産性上昇や法人税の減少は、その国の経済厚生を増加させる一方で債務国のそれを必ず減少させるという意味で近隣窮乏化的である。 第四に、2国経済モデルを用いて、経常収支の不均衡を是正する資本課税や貿易制限の経済厚生効果を分析し、次の3点を明らかにした。(i)経常収支の黒字国の資本課税は赤字国の経済厚生を必ず減少させてしまう。(ii)経常収支赤字国の輸入割当には最適水準があり、ある場合には促進的に輸出に転じることが最適となる。(iii)経常収支黒字国の輸出自主規制には最適水準があり、場合によっては促進的に輸入に転じることが最適となる。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)